大森元気/残像のブーケの制作日誌

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猛烈REC後はじめてのスタジオ/自分のカラー(2020.11.14)

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更新が空いてしまいました。引き続き11月の振り返り中です。

2020.11.14 (土)

◆猛烈REC後はじめてのスタジオ

自分の制作とは別の某リハ。8時間半にわたり参加。

すでに書いたとおりこの数か月は自分の中でエレキギターの聴き方が変わり、自宅RECにて膨大なテイクを重ねながら新しいスタイルを開拓した日々。そんな時期を経たあと初めてのスタジオとなった。

自分のRECでは難易度の高いフレーズもテイクを継ぎはぎすることで完成形を作ることができた。そんな作り方だったのでいきなり自分がレベルアップしたなんてことは勿論思っていないが、いざ生のセッションとなるとそれを痛感した。

アドリブ的に曲に合うフレーズを作っていくこと。自由度の高い現場なのでいろいろやれる環境なのに、臨機応変にどんどん対応していくという点ではまだまだ自分のものになっていないなぁと。

とは言え湧いてくるイメージやフレーズが以前と変わったことを自分で実感できたし、音づくりや弾くタッチについても以前と変わった。だからこの数か月の集中期間は無駄ではなかったかなと。

というわけで歯痒さと充実感の入り混じった1日になった。


◆音楽現場で求められること
歯痒さと書いたが2つのことを思った。1つは上記のとおりイメージは湧くのにプレイがついていかないこと。従来レベルのものは出せているので迷惑はかけていないが、新しいアプローチもどんどんアドリブで繰り出せるところまでいきたいなぁ。

そしてもう1つは「自分に求められているものって何だろう?」ということ。人の演奏に呼ばれていく場合、最も大事なことは

・曲を理解し、良くすること
・フロントマン(or バンマスやプロデューサー)の求めるものをくみ取り、広げていくこと

この2つだ。だけど大事なことってもう1つあると思っていて

・自分にオファーしてくれた意味や役割を考えること

これは他の仕事でも当てはまることかも知れない。(テレビでタレントさんも言っていた。分かりやすい例では食レポやクイズ番組で真面目にやるかボケるのかとか、順番に言っていくコメントで並びによって発言する内容を変えるとか。)

上手いプレイヤーならいくらでもいる。その中でなぜ自分に声がかかったのか。何を求められているのか。

プレイスタイルなのか、アドリブの対応力なのか、他メンバーとのバランスか、性格や人当たり、スケジュール的なもの、ギャラとの兼ね合い、コーラスもできるから等々。


◆求められるものを変えたり増やしたりすること
そう考えると今自分に求められているものは、ひとまず今必死に開拓している新しいプレイスタイル....ではないよなと。まあ”プラスα”にはなるだろうけど。

それも分かっているから「求められているもので応えたい」という冷静さと、「新しいアプローチを取り入れてもっと役に立ちたい」という情熱とが自分の中で葛藤していた。

まあでも、そんな気持ちは今の段階ならではのことかもしれない。今は見つけたばかりで、採り入れたい!全部使いたい!みたいな感じで冷静さを欠いていることは否めない。しかも、まだ余裕に弾けるところまで達していない。

きちんと自分のものにして、それを”自分の一部”として、安定して(何気なく)出せるようになれば、「お、そんな引き出しもあるの?」「腕上げたね」「その方向いいね」となるだろう。あるいはもしその現場で求められる方向性でなかったとしても、別の仕事に繋がっていくだろう。


◆その人である意味、その人とわかる音
尊敬するギタリストを思い浮かべると、例えばどんなシンプルなフレーズを弾いても自分の色が出せる。もちろん必殺のフレーズもあるけれど、何てことのない簡単なものを弾いても何かが違う。全然違う。一瞬でその人とわかるのだ。音そのもの、存在感だったりとか。

ハードロックやメタルなど歪ませて速弾きする系の場合は分からないけど、僕の好きなギタリストはあまり歪ませず、タッチや音色で勝負している人が多いから余計にそう思う。

いま僕は新しいスタイルをモノにしたいと躍起になっているが、シンプルなものを弾いても自分のカラーが出せるようにする、そのことも大事だよなあと。

そして演奏だけじゃない。コミュニケーションのスムーズさ、気持ちよくセッションができること。引き出しを多くもっていること。その引き出しの中身の取捨選択にセンスがあること。臨機応変な対応力があること。柔軟なこと。世のミュージシャン達はみんなやっているもんなあ。

充実感が大きかった分、そういうこともいろいろと考えた日になった。


【追記】
ちなみに....
今回書いたことは”プレイヤーとしての自分”について考えたこと。でも”フロントマン/アーティスト”としての自分はまた別にいる。そこをちゃんと切り分けたほうがいいのか、それとも切り分ける必要はなくて魅力度を上げていけば同じ次元で参加できるのか、それがわからない。今回書いたこととまた別の内容になるのだけど。

今は切り替えている。フロントマンの空気を消して、裏方の気持ちでプレイヤーに徹する。(はみ出て溢れちゃうものはあるけれど)。一方でアーティストの存在感を持ったままでセッションに参加し、化学変化をもたらすことのできる人も見てきた。

それは「やり方」によるのか、それとも単にその人の魅力が高く、僕にその魅力が足りないというだけの話なのか。

それについてはすぐ出る答えではないような気がするのでこのへんで今日の記事はやめておきます。また書くかもしれません。


【追記2】
冒頭の写真にサムピックの写真を載せましたが、今取り組んでいるスタイルは、サムピックを必ず使用するわけではないです。使うときもありますが。ライブで「あれ使ってないじゃん!」とか言わないでください笑