大森元気/残像のブーケの制作日誌

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続サブスク・フィジカル問題 ~ 発売形態が決定(2022.1.29)

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前記事で1月後半から2月まで振り返りましたが、少し時を戻して1月29日あたり。ミックスやり直し発生と同時期、サブスクとフィジカル問題や何の形態でリリースするか、2年くらい迷っていた議題について。

◆フィジカルを作るべきか、「そもそも採算なのか」という話
数日前(1/21かな)よしむらひらく君とLINEでやりとりしていて、サブスク/フィジカルの話になった。配信メインになった現在において、フィジカルを出すかどうか彼も同じように悩んでいると。(彼もいま新譜を作っているそうだ)

「そもそも採算なのかってことも考える」と彼の言葉。これは今の自分にとって大きな言葉だった。自分は過去において採算を考えなさ過ぎて、反省して、これからはちゃんと採算をと考えようとしていた。けどこの言葉で はっとしたなあ。もちろん採算も大事なことは間違いないが、そればかりに囚われすぎていたところがあったのだ。


配信は全曲解禁するか? 虫食い解禁で効果があるか?
この日誌ブログにも何度となく書いてきたが、フィジカルを作るかどうか、サブスクに全曲あげるかどうか。RECが長引いたこともありとても長い間検討してきた。

1~2年前の段階では、<ストリーミングは全曲解禁しない>案。全曲聴きたい人はCDを買ってもらう、もしくはダウンロード購入してもらえたら...という売り方を考えていた。

それが姑息に映るという懸念もあったが、その方法をとっている人はたくさんいる。というかパターンとしてはアルバムの中で分けるよりもアルバムごとに、このアルバムは全曲解禁/このアルバムは全曲未解禁って分けるほうが多いのかな。

それから時間は経ち考え方も変化してきた。全曲解禁しないのは自分の場合だと効果的とは言えないのではないか。なぜなら「解禁されてる曲だけ聴いて終わり」という状況が安易に想像できたから。 前述のひらく君の発言とも繋がってくるが、今は知ってもらうときではないか?と考えるようになった。


◆CDはまだ必要か
そんなことも踏まえて配信については、出し惜しみせず今回はアルバム全曲を解禁することで決定。あとはフィジカルを作るかどうか、作るなら何で作るかということ。

完全に配信のみにしても今の時代もうそこまで聴いてもらえる総数は変わらないのかも知れない。けれども前々記事でも書いたが上の世代のリスナーとか、カーステで聴きたい人とか(まあデータでもカーステで聴けるけど)、そういう人たちにも届けたいし、ラジオ局とか雑誌とかへの売りこみにもダウンロードリンクを送るよりはやはりCDがいいのかなぁと(これについては主流がどうなっているのかリサーチが不足している)。

そんなわけでCDもオワコンとは言えまだまだ必要なのではないか?というのが現状かと。


◆サブスクとフィジカル、それぞれの役割
また、以前紹介したがマエタツさんとメールしていたときの内容。ライトリスナーとヘビーリスナーそれぞれへのアピールの仕方を考えたほうがよいかも(=ファンには豪華なものを届けることで満足感を届け、同時に採算を図る。それ以外のグレー層にはアルバムの概念を捨ててサブスクなどのプレイリスト文化に沿うようなアピールの仕方)というもの。

それもあって、「配信があるからファンは買わない」という短絡的な考え方にもいったん考え直そうと。もちろん事実ではあるだろうが、それでも買ってくれる人が0になるわけではないだろう。

<配信>→たくさんの人に聞いてもらうため
<フィジカル>→ファンの人のため

という考え方にシフトし、フィジカルも前向きに検討。

そしてCD以外のフィジカルについても検討を続けていた。
本当は出したいアナログレコード(+ダウンロード付き)。これは予算的に手が届かない。一方でカセット文化がリバイバルブームとなっているニュースやラジオでの特集などもかなり耳にするが、やはり聴く人は限られてくると予想。その限られた層と僕の音楽性はかぶらない、とも予想。


◆リリース形態が決定
1.29 (土)

そんなわけで、もろもろを総合して考えて、やはりCDを作ることにした。配信のみ、または配信+CDRでも目的は果たせるが、やはりここまで4年半頑張ってつくってきたのだし、CDの必要性も上記のようにまだ捨てきれないということで、やはり配信+CDというのがベストと判断。

ジャケについては、この時点では配信がメインと考えており、CDは「欲しい人だけ言ってくれたら自分のとこで通販ありますよ」くらいのスタンスだった。そのためブートレッグ(海賊盤)風の、無地の紙ジャケ+スタンプ(orテプラシール) という案があった。が、海賊盤ということが伝わらないし、安い感が出るということで却下。

予算削減しつつ、ここ10年でリリースしてきたような“手作り感満載”な感じはなるべく減らしたい。そこで比較的安価で紙ジャケに印刷してくれる会社があることを事前に調べていたので、その方向で進めることにした。

CDはバルク(※)でプレス。ジャケも印刷に出すことで決定。それぞれ別の会社に発注する方向で予算削減を図った。RECやギャラなどまで含めた製作費まではリクープできないが、CDのための発注代などはまかなえる金額で収める。
※バルク...CDのみ納品される生産方法。ジャケ、帯、ブックレット、ケース、OPP包装など何もない状態。


◆吉と出るか凶と出るか。やってみて判断しよう。
サブスクとフィジカルのバランスや売り方について、もう2年くらい悩んでた気がするが、これでひとまず霧が晴れた気がした。もちろんこれが正解という意味ではない。これが吉と出るか凶と出るか。あるいはもっとお金をかけてよかったのか。今回の結果で分かるだろ。その結果をもとに次をまた考えればいいと思う。